ー…不覚であった。
まさか攘夷のヤローにあんなもん吸わされちまうとは…。
沖田は頭を抱えていた。
いや、実際には土方が、である。
「くそっ!!やきがまわったもんだぜ俺たちも!まさかこんなことになっちまうとは…。」
数時間前、土方と沖田は巡回をしていたのだが、人通りの少ない道で攘夷郎士に囲まれてしまったのだが、何故か刀を抜くこともせず、なにかスプレーのようなものを2人に吹きかけるとそのまま退散していってしまったのである。
毒かなにかだとおもっていたのだが、まさかこんなこととなろうとは予想していなかった。
「うあ、こりゃあすげえや。俺が土方さんの声発してやすぜィ。」
空気違いなことを言いだしたのは、他でもない土方の顔をした沖田である。
ここは土方の自室であり、沖田と土方以外は誰もいない。
つまり、今回の事件を知っている者は被害者である2人以外知らないのだ。
伝えれば話はややこしくなり、隊は混乱してしまうかもしれない。
攘夷の奴らがそれが狙いでやったのだとすれば、最悪の事態も免れないだろうと考えた結果、このまま隊士には告げずにお互いになりきって生活するということとなったのだった。
「ちっ…とりあえず今日はお互い非番だしな。あまり外出歩くなよ。」
「わかってまさァ。…しかし土方さん、俺ァそんなに眉間にしわ寄せてやせんぜィ。もっとしっかりしてくだせぇよ。」
土方の姿である沖田はため息をつきながら、土方の自室のトビラを開けようとした。
「お、おい!?言ってるそばから…」
「大丈夫でさァ。ちょっくら厠行くだけですぜィ。」
「…ばれんじゃねぇぞ。」
「へいへい。なんとか標準語使ってみまさァ。」
沖田は、土方のトレンドマークでもある煙草を咥え、部屋を後にした。
「……。」
土方1人残され、土方は煙草に手を伸ばそうとするがこれは沖田の身体。
何せ沖田はまだ18だ。煙草などこの身体で吸うわけにはいかないとそれを自制した。
しかし、これでやることはなくなった。
このぽっかりと空いた時間をうめようにも、まったくといっていいほどやることがない。
そんな中で、ふいと土方の姿でいる沖田のことが気になってきた。
なにせ自分の身体わ、使われているのだ。副長の座を狙っている沖田がなにをしでかすか不安でしかたがない。
土方は沖田の自室を少々焦りながら後にした。
「…。」
その時沖田はというと。
用を足し終えた土方の身体である沖田は鏡でその身体を眺めていた。
「相変わらず、綺麗な身体でさァ…。」
ぼそりと、誰にも聞こえないような小さい声で呟いた。
いつもはきっちりと隊服を身に纏い、鬼の副長という肩書きで攘夷浪士に恐れられる土方であるが、仕事が終わり、着流しへと着替えればこれは一変する。
今はそんな着流しを身につけていて、たまらなく沖田の目にはそれがエロく感じた。
無意識に沖田は、その無防備な現在は自分の身体になってしまっている土方の胸元に指を這わした。
「っ…!?」
その途端、その身体に電撃が走ったような甘い痺れを感じ、すぐさま手をひっこめた。
普段土方への愛撫で、土方は最低一回は「嫌だ」だの「やめろ」などの否定の言葉を発していた。いつもなら「気持ちいいくせに」と流しているのだが、今ならそんな言葉が出てくるのも分からなくはない。
「…エロい、でさァ…。」
すっかり元気になってしまった沖田入りの土方の竿はおさまるはずもなく。
しかたないので自家発電でと個室トイレへと足を向けた。