「総悟…抱いて、くれ…。」
「…はィ?」
全ては、土方のこんな一言から始まったー…。
「えっと…どうしたんでィ土方コノヤロー、マヨの食い過ぎでいかれやしたかい?」
沖田はいつも通り悪態をつき、土方の反応を待つ。絶対聞き間違いに違いない、もしそうならいつも通り怒って刀抜いて追いかけ回すハズだ。と沖田は考えていたのだろう。
しかしそんな沖田の脳内に逆らうかのように、土方は無言で隊服のベストを剥ぎ取り、それらを辺りに投げ散らかした。
ここは、沖田の自室。
いつも通り土方に夜這いを仕掛けようと襖を開けようとした時、土方が入り込んできたのだ。
はじめは何のつもりかと疑ったが、これで夜這いに行く手間が省けたと沖田は黒い笑みを浮かべて自室に通せば先程の一言。
普段自分から誘うことなどないので、これには沖田も相当驚いていた。
「土方さん…なにか、あったんですかィ?」
「…。」
返事はない。
だが大抵土方が押し黙る時は、それを肯定と意味していると沖田は心得ていたため、深い溜息をつきもうそれ以上何も聞かずに沖田は軽く土方の額に口付ける。
「…そこじゃ…ねぇだろ。」
ようやく口を開いたかと思えば土方はそう短く告げ、沖田の顎を掴んで自分から口わ付けた。
はじめは驚いたものの、挑発的に舌を出して来られれば
簡単に沖田の理性は崩れてしまう。
沖田は土方の肩に手をおき、そのまま勢いよく布団に向かって突き落とした。
「…自分から誘ったんだ。泣いたって許してやしませんぜィ。」
「ふっ…臨むところだ。」
強気に微笑む土方の顔には、何処か悲しみが交ざっていて。
それを取り除いてやりたいと、沖田はさらに何度か濃厚な口付けを交わした。
「ん、はぁ…総、悟…。」
頬を蒸気させ、目を潤ませた土方に今すぐにでも突っ込みたい衝動が沖田に巡るが、それでは土方の何らかの悲しみを取り除いてやれない。
せめて一時だとしても、快楽に溺れ、何も考られなくさせてやりたい。
そう決心した沖田は、丁寧にゆっくりと全身に愛撫をすることに決めた。
「土方さん…。」
沖田は土方の耳元でそう囁くと、耳朶に丁寧に舌を這わせ、クチュクチュと官能的な
音を立てる。すると土方は首筋をそらし、相変わらずの甘い声を響かせた。
「ぁ、んア、総悟…!そこは、ヤダ…!!」
土方の快楽への扉を簡単に開いてしまう、耳という性感帯をいつも以上に責められつづけ、喘ぐ声からは拒絶の言葉が含まれた。
しかしそんなことはお構いナシに沖田は、耳元で更に囁く。
「んな拒絶したってやめやせんぜィ。大体、土方さんが誘ったんじゃないですかい。
「っ…く、そ…ッ」
そい言われてしまえば抵抗のしようがない土方は顔を背け、林檎のように色ずいた顔を片手で隠し、悔しげに声を漏らした。
その姿は、普段身体を重ねる時とはまったく別に、じわじわと染み込んでくるような快楽に耐えるようで、沖田をさらにそそらせた。
沖田は耳から口を離し、予め土方がぬいでいた上半身へと手を滑り込ませ、土方の一番敏感である箇所に優しく触れた。
「くッ…あ…!や、んァ…」
いつもならもっと大きな刺激が一気にくるはずなのに、壊れ物を扱うかのように触れる沖田の手に、安心感と同時により強く感じていた。
「ん…そ、ご…もう、しつこいッ…!」
じんわりと襲ってくる快感に耐えきれなくなったのか、土方は沖田の弄り続ける手を力無く掴み、目を潤ませて懇願している。
しかし沖田は、それに逆らうかのように次は口を近づけ、丁寧に舐めはじめた。
「ぁあッ…!!な、んで…」
いきなり訪れる染み込むような刺激に土方は困惑する。
「土方さん…、気持ちイイですかィ?」
「ん…くゥ、ハァ…!気持ち、い…けど、足りない…!!」
沖田は、愛撫の手をぴたりと止めた。
足りない…そんなことを言われてしまえばもう理性を保っていることは不可能。
沖田は土方に顔をグッと近づけると、色づいた声を静かに告げた。
「…それが計算なのかは知らねェけど、ここまでおねだりして、もうどうなっても知らないですぜィ。」
「ん…いい、から…。」
二人ともふっと笑みを浮かべると、深い快楽の中に、ゆっくりと溶けていった…。
「-で、どうして柄にもなく俺を誘ってきたんですかィ?
今更聞くことでもなかったのだが、どうしても聞きたくなってしまい沖田は
問う。
「あ、ああ…そのことなんだが…。」
土方はいきなり頬を赤らめ、次の言葉を言いにくそうにはなした。
それは、沖田も想像していなかったことで。
「自分から何かしないと…総悟に飽きられると、思って…。そうかんがえたら…」
「…土方さ、ん…!!」
そんなことで悩んでいたのか、ここは呆れるところなのだろうが、今はそんなちんたらとなにかを考えられる余裕はなかった。
沖田は土方を思いきり抱きしめると、再び土方を押し倒した状態へとなった。
「なっ…!!///なにしやがる!!」
「すまねぇ土方さん。どうやらもう一発しねぇとおさまらないみたいでさァ。」
「ま、まて…ん、ぁ…どこ触って…!」
俺が土方さんに飽きる?
…飽きるどころか、俺ァとっくに土方さんに溺れちまったんですぜィ?
甘い二人の夜は、まだまだ終わらなかった。