簡単無料小説

女神と戦士と旅人と - 勇士司令部

📚 目次

1 第一章 (2ページ)

📍 勇士司令部
└ 光の国
1
2

2 第二章 (6ページ)

▶ 熱砂の戦士
└ 砂の星
3
4
▶ 鋼鉄の騎馬
└ 砂の星
5
6

3 第三章 (2ページ)

▶ 女神と悪魔
└ 惑星バッカス
9
▶ 宇宙の奇跡
└ 惑星バッカス
10

4 第四章 (7ページ)

11
12
13
▶ 海底都市
└ 海の歌
14
▶ 歌姫
└ 海の歌
15
▶ 偽善者
└ 海の歌
16

5 第五章 (9ページ)

▶ 火の鳥
└ 光と錬金術
18
▶ 魔女と怪物
└ 光と錬金術
19
▶ 錬金術
└ 光と錬金術
20
▶ ホムンクルス
└ 光と錬金術
21
▶ 捕らわれる光
└ 光と錬金術
22
▶ 賢者の石
└ 光と錬金術
23
▶ 紅蓮の鳥
└ 光と錬金術
24
▶ 守る者
└ 光と錬金術
25
▶ 本当の賢者の石
└ 光と錬金術
26

6 第六章 (8ページ)

▶ メタルビートル
└ CORPS OF THE APES
27
▶ マンカインドとエイプノイド
└ CORPS OF THE APES
28
▶ ノルン只今参上
└ CORPS OF THE APES
29
▶ 奔放な指揮官
└ CORPS OF THE APES
30
▶ グリーンプラネット攻防戦
└ CORPS OF THE AIPS
31
▶ 最強の敵
└ CORPS OF THE APES
32
▶ 最後の命令
└ CORPS OF THE APES
33
▶ ノア
└ CORPS OF THE APES
34

7 第七章 (5ページ)

▶ 尼と女郎と浪人
└ 江戸の妖し
35
▶ 産女と姑獲鳥
└ 江戸の妖し
37
▶ 鷹御前
└ 江戸の妖し
38
▶ 月下美人
└ 江戸の妖し
39

8 第八章 (5ページ)

▶ ミラージュシティ
└ ミラーキングダム
40
▶ 王家の血
└ ミラーキングダム
41
▶ 騎士道
└ ミラーキングダム
42
▶ 鏡の魔術師
└ ミラーキングダム
43
▶ 鏡の国の騎士
└ ミラーキングダム
44

9 最終章 (7ページ)

▶ コスモテクター
└ 始まりと終焉の地
45
▶ アカシックレコード
└ 始まりと終焉の地
46
▶ スクルド
└ 始まりと終焉の地
47
▶ 難攻不落の敵
└ 始まりと終焉の地
49
▶ 世界の運命
└ 始まりと終焉の地
50
▶ エピローグ
└ 始まりと終焉の地
51

勇士司令部

第一章 / 光の国
1/51 ページ

 M78星雲。遠い昔に太陽を失いながら、光が絶えない神秘の世界。その中心に位置するウルトラの星。ここに建設されているプラズマスパークタワーは、この銀河の太陽となり、あらゆる惑星に光を降り注ぐ。故に、宇宙の民はこの星を「光の国」と呼んだ。

 光の国の住人は太古の昔、プラズマスパークのエネルギーの直撃を受け、超人の姿へ変貌を遂げている。それは、本来の生命の進化とは違うものだった。失われた太陽の自らの手で再現する行為に対して、神が進んだ科学力への奢りと慢心に対して放った罰であると彼らは考えた。人々は、永遠の光と引き換えに、超絶な力と生命を得たのだと。それは自然の摂理、宇宙のサイクルから大きく逸脱する存在で、生命体と言うには、あまりに過酷な存在意義であった。彼らは、その存在理由を求め、この力を他の生命の営みを守ることで、再び世界の一部になろうと結論付けていく。宇宙には、彼らのような超人のほか、怪獣という超生命体が存在した。彼らは自然サイクルから外れ、相いれない価値観で弱い生命を脅かすことが多々起こりえる。その調停のために、この力を行使しようというのだ。あくまで、その星の人々が望む範囲の中で。

 そんな理想を掲げ、彼らが組織したのが宇宙警備隊や銀十字軍、宇宙科学技術局と言った組織であり、それらが体系づけられ、訓練を受けた者たちは広大な宇宙へ散らばり、その存在の意味をなすために旅を続けている。

 そんな彼らの故郷である、光の国。その名の通り、あらゆるものが眩い光を放ち、たんぱく質で構成されるような普通の人間の目ではその姿を見るどころか、視力を奪われかねないほどの光がすべてに溢れている。そんな街にそびえ立つ、全長は想定できないほどの建築物である光の神殿の一室では、二人のウルトラマンが向き合っていた。一人は、頭部に巨大な角を備えた、宇宙警備隊大隊長のウルトラの父。もう一人は、胸にスターシンボルが輝く、宇宙警備隊長のゾフィーだ。宇宙警備隊は、限りない星に戦士を送り込んで、混沌の調停を行う戦士を派遣する部隊である。ゾフィーはその指揮官として辣腕をふるっていた。ウルトラの父もまた最高司令官の立場にはあるが、名誉職的なもので、あくまでゾフィーらの顧問の立場であり、普段は光の国の行政に携わっている。そんな二人が他の誰も同席させずに、二人だけで話し合うこと自体異例のことであった。それだけ、彼らの会話の内容が重要な案件であることが、この状況だけでも十分に窺い知れる。

「ゾフィー、報告は聞いたが、やはり緊急を要するか」

「発見から間もないことですが、あまり放ってはおけません。突然発見された暗黒星雲と言うのは異常事態です。早急に手を打つ必要がありますが、アナザースペースからの攻撃で、この星の防衛網のぜい弱さが露呈しています。監視の意味も込めて、何か策を講じる必要もありますが、この星の安全も考慮に入れなければなりません」

「派遣先の様子が全く分からないというのが非常に危険なことであるのは、セブンやゼロの一件でも明らかだ。ましてや、今回発見されたエリアは、ボイドと思われていた地域だ。そうなると、今度はどれだけ広大な未知の宙域を担当するのかもわからない」

 深刻な様子で話しこむ二人の下に、もう一人のウルトラマンが姿を現した。元・宇宙科学技術局のヒカリである。数少ないスターシンボルの受勲者で、しかも彼は科学者としてその栄誉を手に入れたことでも、その優秀さがよくわかる。現在は宇宙警備隊に籍を置くほど戦闘力が高いのだが、高い教養は今でも重宝され、科学技術局の仕事も並行して行うことが多い。ヒカリは、ゾフィーの横に立ち、一礼すると話を始めた。

「お待たせしました。私が回収した物質の分析が終了したのでお知らせいたします。この物質にはディファレーター因子にきわめて近いものが含まれていることが判明しました」

「では、そこには我々のような存在がいるというのか」

「そこまでは断言できません」

 彼らが言うディファレーター因子というのは、プラズマスパークに含まれる未知の宇宙線で、彼らを超人に変え、生物を怪獣に変えさえもする恐ろしいものである。彼らはウルトラマンになることはできたが、線量のバランスによってはどんな姿になっていたか想像もつかないのだ。

「この因子は、微妙なバランスによって変化が起こります。それに、似ているというだけで、性質が同じともいいかねます。また、気になる点がもう一つ。この宇宙にはどうも未知の物質、ダークエネルギーと思われるものがあるようです。別に毒になるものではないと思いますがが、このような物質が存在するとなると、任務に支障をきたす可能性もあります。未知の危険が漂う地帯と言えます」

「そうなると、やはり複数体制であたらせねばならないな」

 大隊長であるウルトラの父はぽつりと漏らした。しかし、人員を割くと簡単に言っても、今の光の国で宇宙警備隊の人員の派遣地を整理するのは非常に困難なことである。短期間に光の国への直接攻撃を続けざまに受け、その修復や警備体制の見直し、宇宙の治安維持の本丸が攻め込まれたことでよからぬことを考える勢力が活動を活発化させているためだ。本陣である光の国の防衛と、各地への治安維持のための派遣は非常に組織の体力を消耗し、新たな宙域への人員配置など、非常に困難なことであった。

 しかし、あげられた報告では、新たに発見された暗黒のガス雲が漂う宙域の近くでは、異常な数の怪獣が発生しているという報告があり、この区域が非常に危険なバランスの中にあることは明白だった。戦闘にならなくとも、調査や監視をするものが必要である。

「大隊長。勇士司令部を使いますか」

「確かに、これだけ危険度の高い任務を単独で当たらせるとなると、最も適任なのは、あの部署しかあるまい」

 彼らの話に上っている勇士司令部とは、宇宙警備隊の一つの部署だ。一般隊員と違うのは、その戦闘力である。訓練生時代からの優秀なものが候補となり、さらに実戦で功績をあげたものが配属され、戦闘力の高さは、一般隊員の三人単位に換算されるほどであると言われている。また、様々な環境や政治体制、文明の発達度に適応する高い教養も要求され、単独で行動する上での判断力も重視される。言ってみれば、単独で危険な任務をこなし、どんな星でも適応して事件を解決する能力を持つエリート部隊だ。

 今回のように、安全があまり保障されない未開の宇宙というのも、勇士司令部が適任と言える土地だ。しかし、国防に不安があるこの星の現状では、勇士司令部の構成員も貴重な戦力で、簡単には動員できない事情がある。

「今回の任務では、一番適正があるのはあそこで間違いないだろう。しかし、これだけ国防に隙があると、彼らもまた安全保障上の重要な一員だ。長期任務にあたれるものはいるだろうか。ネオスはオリオン座系の宙域に向かわせているから無理だろう」

「では、現在は休養中、非番のものを当たらせてはどうでしょう。非番の者は防衛網の構想に入っていません」

「それはいいが、この難しく危険度の高い任務を任せられる者がいるのか」

「大隊長。ノルンがいますが」

 ゾフィーの推薦に、父もヒカリも動揺を隠せなかった。一つの任務に就かせる人員の推薦や任命の場に就いたことは、彼らのキャリアからいえば少なくない経験であるし、むしろ見慣れた光景と言える。しかし、彼らが動揺を隠せないのは理由があった。なぜなら、ゾフィーが推薦したノルンは、彼の娘に他ならないからであった。

「ノルンであれば、この任務には不足はないでしょう」

「ゾフィー、お前の推薦通り、ノルンであれば勇士司令部の中で今は任務に就いておらず、戦闘力や知力から言っても申し分はないであろう。だが、任務の性格上、もっと慎重に考える余地はある。それに、お前はこの危険な任務だからこそ、敢えて自分の娘を送り込んで、私情は任務に一切はさまない姿勢を見せようとしているのではないか。そうすることで、他の隊員たちに余計な考えをさせないように、無理をしているのではないだろうな」

「大隊長、私を、いえ、我々親子を見くびらないでいただきたい。あくまで、我々は隊長と隊員の関係、これはこの職に二人同時に就いている限り変わりません。それは、ノルンがこの仕事を選んだときに誓ったことです。私は隊長として、最もふさわしい者を選んだ、ただそれだけです。そのことは、大隊長が一番理解しているはずです」

「それを言われると痛いな。反論はできん。わかった。では、勇士司令部のノルンに新たな任務を与える。この任務は、私も立ち会って任命をする。ヒカリ、ノルンを探して、光の神殿に来るように伝えよ」

「わかりました」

 ヒカリは部屋を出て、ノルンを召集すべく行動を開始した。ゾフィーは壁が透けて見える窓に立ち、光にあふれる街を眺めていた。何を考えているのかは、その顔から察することはできなかったが、隣にウルトラの父がすっと並び立ち、ゾフィーに静かに語りかけた。

「すまんな、ゾフィー。私としても、ノルンが今使える状態にあることは知っていた。だが、父であるお前を目の前にするとそれを言い出せなかった。お前に苦しい発言をさせて悪かった」

「やめてください。私は、隊長として人員を指名しただけです。本当です。ただ、肉親を戦場に、自分の命令で送り込むつらさは、大隊長も同じですし、私もその現場を見ていました。だからこそ、私も同様の状況になったときは、大隊長と同じ行動をしようと覚悟を決めていましたのです。それが、今訪れたに過ぎません」

「お前とノルン、本当に強い親子だな。私は息子にそこまで厳しくなれなかった。お前を始めたする隊員を、すぐに救援に行かせてしまったからな。私は甘いのだろう」

 親子の悩みを共有する彼らは、力なく笑うしかなかった。