砂漠は灼熱のエリアと言うイメージがあるが、それは一部に過ぎない。地表を覆う草がないため、熱を遮り、またとらえておくもの存在しないため、昼夜の温度差が激しいのだ。太陽に照らされ、砂はどんどん熱せられていく昼間は、強烈な照り返しと相まって、50度近くまで温度が上昇する。しかし、夜間は、地熱を貯め込む事が出来ない砂から放射冷却が起こり、一気に気温が低下し、10度以下にまで温度が低下する。そこで生きる人間は、高温と低音の温度差に対応する生活が要求される。
その点で、ライブブレスレットから召喚されたノルンの衣装は、その土地の気候や文化に合わせてその都度衣服を作るため、現在着ている物も理想的と言えるものとなっていた。
青い色は、ノルンのイメージに反応したためだが、それが強い太陽の日差しを和らげ、適度にゆったりとしたつくりのため、空気の層が体温調整の役割を果たす。頭から首にかけてに巻く長い布のターバンも、頭や首と言った部分を隠し、熱射病を防いでくれる。肉体は常人を超えているとはいえ、人間の体の構造に変異させている以上、同じような健康管理をした方がいいのは、当然である。
それでも、少し頑丈な分だけ、他の人間とはノルンは違う。礼をしたいと言う村長に対し、酒を要求し、酵母の臭いがきつくやや粉っぽい原始的なビールを次から次へとカップに空けては口に運び、一つも酔っぱらう素振りを見せず、実にうまそうな表情を浮かべている。そんなノルンの周りには、自然と子供が集まってくる。強くて優しく、ざっくばらんに酒を飲みながら子供の話に耳を貸し、自分からも色々な話を聞かせてやる彼女の姿は、とても圧倒的な強さを持つ戦士にも、その素顔が人間とはかけ離れた宇宙人にも見えない。そこにいるのは、誰の目から見ても、一人の優しい小柄な女性だ。
ノルンは、子供に囲まれ、一番年下の子供を自分の膝の上に載せながら、自分の星の記録を、子供達用にうまい具合に変え、おとぎ話にして話している。
「赤い戦士と青い剣士の前に立ちはだかった暗黒の王に、二人は為す術もありません。二人は、体を消されてしまい、星は黒い雲に覆われ、空から太陽は消え去りました」
「二人とも死んじゃったの。みんなどうなっちゃうの。お姉ちゃん、次を聞かせてよ」
「わかったから、少し一杯だけ飲ませてよ。……、それにしても、随分と個性的な味の酒ね。じゃあ、続きね。でも、その星は滅びませんでした。その星で戦士と共に戦った勇者達がいました。彼らは、遠い星からやってきた赤い戦士を友達として大切にし、その気持ちはどんな時があってもそれは変わりません。その思いを、遠い星にいる赤い戦士の仲間が応援します。そして勇者たちの思いが一つになり、彼らと赤い戦士と青い剣士は一つになり、炎の中からよみがえる不死鳥になり、暗黒の王を討ち倒し、世界に太陽と青い空を取り戻しました。勇者たちが自分を助けてくれるまで強くなってくれた事に感動し、安心して自分の故郷に帰る事が出来ました。そして、今も遠い星から、青く美しい星をずっと見守り続けています。はい、めでたしめでたし」
子供たちの目は、今まで聞いた事のない話に目をキラキラと輝かせ、顔には驚きの表情が浮かび、興奮して部屋一杯に子供達の声が溢れかえる。ノルンに貸し与えられた寝室は、もはや寝室とは呼べない状況だ。
「はいはい、お話はこれまでよ。子供は早く寝なさい。寝ないと、赤い戦士の様に強くなれないわよ」
もっとノルンの話を聞きたい子供達は残念がるが、だいぶ夜も更けてきている上、子供たちの親の都合もあるので、ノルンは何とか子供をなだめすかして、ようやく家に帰らせる事が出来た。そして、一人になると、瓶に入っているビールをカップに入れるが、もう半カップしか残っていないのがわかり、ちぇっ、と舌打ちしたノルンは、布を敷いただけの簡易の寝床に横になった。自分が希望した礼の品に舌打ちするのも随分な態度だが、今いち礼儀などを覚えきっていない上、すっかり酒が好物になってしまったためで、決して悪気があるわけではない。簡単に言えば失礼、弁護的に言えば無知なだけだ。
ほとんど寝る必要もないノルンは手持無沙汰になり、カップに残ったビールを指ですくってなめるなど、がさつな真似をしている。する事もなく、床で寝転がっているノルンだったが、少しずつ近寄ってくるかすかな足音に反応し、いつもの表情に戻り、警戒しながらブレスレットに手を添える。敵ではないのだろうが、戦場で生き延びてきた彼女にとっては当たり前の反応だ。床に寝ながら足後の主が地づいてくると、それが誰のものかノルンにはすぐわかった。
「夜更けにどうしたの、アープ」
訪問者はアープだった。足音や息遣いからも、彼女があわてている様子が、ノルンには手に取る様にわかった。息を切らせながらノルンの目の前に座ったアープは、息を整え、自身の話したい事を冷静に話せう様に努めて、口にし始める。
「ノルンさん、休んでいる所にすみません」
「いいわよ。退屈していた所だし、あなたもいっぱおやる、と言いたいところだけど、お酒もきれているし、それどころじゃあなさそうね」
「そうなんです。実は、アータルが村を飛び出して、バーガルさん達の国に向かったみたいで」
「あの馬鹿、何かやらかす様な気がしていたけど、ここまでやるなんて……」 ノルンの反応は、怒るというよりは、呆れてものが言えないといった様子だ。アータルの気性や過去のいきさつを知っているため、見境のない行動を起こすのは予期していたが、敵の本陣に奇襲をかけるのは想定外だった。深いため息をつくノルンに、意外に落ち着いているという印象を持ったアープは、拍子抜けし、慌てていた彼女自身の動揺もどこかに消えてしまっている。
「ノルンさん、冷静なんですね」
「まあ、あいつの性格を考えれば、多少の予測はつくけど、私の予想を超えてるわ。ワルフは知っているの」
「はい。アータルの足跡を見つけて、血相を変えて追いかけていきましたが、捕まえられるかどうか」
「次にあなたの言いたい事を当ててみようか。私も後を追うので、村の守りをお願いできますか、でしょ」
「やっぱり、わかりますか……」
「あなたは、三人の中で一番素直だから」
ノルンの言う素直と言うのは、アープの真面目さからくるもので、書く仕事や詭弁を使う事ができず、考えている事が顔にすぐに出てしまう彼女の性分を端的に表した言葉だ。居ても立っても居られずにそわそわしているのに、村が心配で目がきょろきょろして、口調と裏腹に落ち着きがないため、ノルンにはアープの心情を容易に察する事ができる。
「ワルフがアータルに追いつくまで、時間がかかるでしょうし、下手をしたら、向こうの国に着く頃かもしれません。そうなったら、戦いになるのは火を見るより明らかです」
「炎使いのアータルだけにね。冗談はさておき、あなたの予想通りになるわよ。あなた達は三人で一人、三位一体の戦士。バラバラでは力を満足に生かせない。いいわよ、村の事は私が引き受けたから、二人を追いなさい」
「ありがとうございます」
心配事が一つ減ったことで、アープの表情は幾分明るくなった。仲間の事も、村の事も本気で心配し、それをたった一人で胸の奥にしまいこんで、ノルン以外には誰にも相談できなかったのだろう。ノルンは、他の二人とは違う彼女の性分に好感を持っているため、意識するしないに関わらず、親身な姿勢で接している。
「あなたは、他の二人と違って、落ち着いていて自然体ね。そこが好きなんだけどね」
「そんな……。私は、いつも鈍くて、二人においていかれてばかりで。どうして、私が伝説の戦士になったのか、理解できていないんです」
「あなただからこそよ」
「どういうことですか……」
「アータルは、戦士向きの性格と能力を持っているけれど、激情と憎しみで暴走しやすい。ワルフは、歳も経験を重ねているけれど、達観するが故に悩む事を卒業している。あなたは自然体で周りを見て、考え、悩む。悩む故に思考は深くなり、二人が通りすぎるものを見失わない。あなたがいるから、三人は三位一体に成り得る。そういう私の『屁理屈』だけどね」
アープ自身も、自分の存在意義について悩んでいたのだろう。圧倒的な強さも、人生経験もなく、能力も砂漠では圧倒的に不利な水の属性。何のために戦士になり、何のためにそこに言えるのか、大きな迷いを抱えていた彼女にとって、ノルンの言葉は、ずっと抱えていた心の重しを、僅かでも軽減させrには十分だった。少しだけ、顔から影が消えたアープは、自分が今、何をすべきかがわかった様で、迷いのない表情をノルンに見せた。
「ノルンさん、話体、二人を追いかけます。今からなら、それほど遅れを取らずに追いつけるはずです」
「そう言うと思った。行くなら、水は豊富に持って行きなさい。あなたの武器は、ここでは補充がほとんどきかない。急いだ方がいいわ。超人のあなたの脚力があっても、条件はあの二人も一緒。走っている間は差が縮まらないから」
「はい。村の事はよろしくお願いします」
「それと、ノルンさん、アータルのことですけど……。本当はあんな子じゃないんです。明るくて、活発で、優しくて。苛められている事見ると、いつもその子の味方をして、苛めた相手が年上の男の子でも殴りかかる、そんな少し荒っぽいけど、優しい子だったんです」
「わかってる。バーガル達を撃とうとした時だって、私は手を出そうとしなかったでしょ。あれは、アータルの目に躊躇があったから。躊躇がなければ、私がアータルを撃ったわ。でも、仇を撃てない戸惑いが彼女の本当の姿だと思ったから、よそ者の私は手を出さずに友達であるあなた達に任せたの」
「何でもお見通しなんですね。私なんて、全然敵わない」
「寿命が長いからね。でも、こんな風になったのも最近のこと。みんな学ばなきゃいけないし、誰でも学べるはず。でも、アータルは自分の優しさと憎しみの間で苦しんでいる。足を踏み外さないように、支えてあげて」
「はい。後の事はよろしくお願いします」
「わかったわ。気をつけてね。無理な戦闘は避けるのよ」
ノルンの注意をしっかりと心に刻むと、アープは足早に家を出ていった。すぐに準備を整え、二人の後を追うのだろう。ノルンは、ほとんど癖になってしまっている左手のブレスレットをさすりながら、一人で思案を巡らし、思いを定めて立ち上がり、村の入口へ向かうこそにした。昼間の失敗もあるため、裏手でも火を焚いて、視界を確保している。これなら、暗闇にまぎれて不意打ちを仕掛けられる事もない。不安を一つ潰し、ノルンは正門に向かった。見張りを交代しながら絶えず砂漠に注意を払っている。だが、彼らは、アータル達が村を抜けて、相手の本丸を落としに行った事を知らないのだろう。だが、不用意にそれを伝えると、混乱を招く恐れがある。まず、村長にだけはこの事を伝えようと、彼を探していると、昼間首を締めあげた男の姿が目に入った。人に聞くのが手っ取り早いと思ったノルンは彼に声をかけてみる。
「ねえ、村長はいる」
「えっ。あっ、ノ、ノルンさん。ど、どうかしましたか」
余りにびくびくした彼の反応にノルンは首をかしげながらも、彼の怯えにお構いなしに話を続ける。
「だから、村長を探しているの。何、びくびくしているのよ。別に私はもう怒っていないんだけど」
「そ、それはわかっています……」
自分が首を締めあげた事を謝るより、怒っていないと言う事を強調するあたりが、彼女らしくもあり、誰もその事を不思議と疑問に思わないので、周りからは笑い声が上がるほどだ。
「私はああいう発言が嫌いなだけ。気をつけてくれればいい。それで、村長はどこにいるの」
「門の辺りにいると思います」
「そう、ありがとう」
萎縮している男を尻目に、ノルンは門の辺りを見渡し、やっと村長を見つけてた。向こうでも、ノルンの姿をすぐに見つけ、駆け寄ってきた。
「ノルンさん、こんな夜更けに如何しましたか」
「ちょっと……。あ、そう言えば、村長の名前を聞いていませんでした。いきなり戦いで、その後もぶらぶらしていたもので、すっかり忘れていました」
「ノルンさんにもそのような所があるのですな。私の名は、アディーブと言います」
「そう、覚えておきます。それで、アディーブ村長、伝えておきたい話が……」
ノルンは、アディーブの耳に口を当て、誰にも聞かれないようにした。他言できないと言う雰囲気を察したアディーブもなるべく表情を浮かべないように努め、わずかに眉が動いただけに感情を押さえこんだのはさすがである。
「なんですと、あの三人が村を出たと」
「はい、敵国にアータルが殴り込みをかけて、残り二人がそれを止めに……」
「まったく、あの馬鹿者どもが。いくら、戦士の力を得たと言っても、そう易々とあのパチルア王国を落とせるわけがあるまいに」
「その、パチルア王国とこの村の歴史を、教えていただきますか」
「うーむ。旅人であるノルンさんを巻き込むのは、本来であれば論外なのだが、ここまで巻き込んでしまった以上、隠す事の方が失礼でしょう。年寄りの取り柄と言えば、長年生きて生きたことで、頭に刻み込んできた記憶ぐらいです。すべてお教えします」
ノルンとアディーブは、近くにあった岩場に腰掛け、なるべく他の人間に利かれないように小さな声で話を始める。
「我々、シワシス村の先祖は元々遊牧民でしたが、騎馬系遊牧民に押され、この砂漠に追い込まれたのです。牧畜に適した土地を失った我々は、不毛の地を彷徨い、その間に過酷な環境に耐えきれず、次々と仲間を失っていきました。強い者が生き残り、弱い者は切り捨てられる。このような過酷な環境では、それは致し方のない摂理です」
「過酷なほど、人は自分の命を守ることで精いっぱいになる。文明のレベルによるけれど、それは逆らえないことですよね」
「はい。その事に恨みつらみは一切ございません。我々の世はそうできているのですから。砂漠を彷徨い、死を覚悟した先祖の前に奇跡が起こったのはその時です。砂漠に伝わる火、水、風の戦士の魂と言うか、精霊の様な物が現われ、このオアシスに導いたのです。水の精霊は渇きを癒し、風は砂嵐を吹き飛ばし、火は暗い砂漠の道を照らし、オアシスまでまっすぐに案内したということです。それ以前にも、戦士の魂や三つの精霊の話は伝わっていましたが、昔話のひとつだと思いいていたそうです。ですが、それが実在したと言うのは、今三人の若者がその力を得るまで、私の代になると、また伝説の類いになっていました。ノルンさん、あなたも不思議な旅人で、人を超える力を持っている。あなたに訊いてみたいのだが、人を超える力と言うものは何のために存在するのでしょう」
アディーブの問いは、ノルン自身の存在意義を問うものでもあった。何のために自分は存在するのか。自分の力は何のためにあるのか。自分の一族の存在する意味とは何なのか。ずっとその答えを求め、彼女は戦い、旅をし、人と出会ってきた。すべてはわかってはいないが、学んだことはたくさんあるし、伝えられる事はもちろんある。ノルンは少しだけ沈黙を置きながら、ゆっくり口を開いた。
「必要のない物、意味のない物は存在しません。善と悪、光と闇、人にとって過酷な物も、この世界が必要だと思うから存在する。光がなければ闇が何なのか定義できない。悪がなければ人が目指すべき善がわからない。闇や悪と戦っている私が、そんな思想を持っているのはおかしいのかもしれませんが……」
「いえ、すべての者に意味がる。そう考えるからこそ、敵を保護する余裕と考えを持ち、あの鉄の化け物の存在を察知し、その正体を見極められるのでしょう。あなたも、その考えに至るまで、様々な経験や葛藤があったのではありませんか」
「……、私には憧れた力がありました。でも、望んだ力や才能は授からなかった。周囲から浮き上がり、誰にも馴染めない。噛みついて、尖がって、孤立して、好奇の目で見られて……。何のために生まれてきたのか、生きていく意味や目的が何なのか、ずっと問い続けてきました。戦い続けてきました。でも、それでは見つかることはありません。でも、今は少しだけ光が見えます」
「どうやって、闇夜に光を見出したのですか」
「闇夜の光、ですか。素敵な表現ですね。でも、その通りでした。暗い闇の中を戦いに明け暮れていた私に光を示してくれたのは、出会いでした。ある星、いえ、国で私はとても貴重な体験をしました。友人を作り、そこで生きる人々の姿を見つめ、自分の心と向き合う大切な時を過ごす機会があったんです。何のために戦い、何のために存在するのか、答えはまだ得ていませんが、その国で過ごした時の中で、私が目指す光を見つけました。それは、運命を守ること」
「運命とは、生きる定めという、あれですか」
「いいえ、少し違います」
ノルンは、にっこりとほほ笑みながら否定した。彼女が暗闇を抜けて見つけた仄かな光を何なのか、それをゆっくりと語り出す。
「運命は点ではありません。糸です。何本にもわかれた、無数の糸です」
「あの織物に使う、糸ですか」
「そうですね、そう考えていただければ。運命は点ではない。運命は自ら進むべき道、手にすべき糸を選ぶ行為を意味すると私は考えます。選んだ糸に、生きてきた過去が加わり、今を生きる証を刻みつけ、その糸は太く強く紡がれ、やがて未来へとつながっていく。それが私が考える運命です。これは、私の名をつけてくれた母の意思だと、最近気がつきました」
「ノルン様のお母さまの意思ですか。そう言えば、あまり聞かない名前と言うか、言葉ですな。異国の名前ですか」
「異国、でしょうね。遠い国の神話に出てくる女神の名だそうです。運命の糸を紡ぐ女神たちの総称で、その中でもある泉に住む三人の女神は、それぞれが過去と現在と未来を示し、その一人は戦士なのだそうです。母は、私に人々の運命の糸を守る女神の名と、その名に込められた強さを私にくれました。その事を、旅と出会い出来がつく事が出来ました。そして、私が存在し、戦う意味を見つけることも」
「なるほど、そのような事があったのですか。ノルン様にも生きる意味、存在する意味がある。そして、その力の意味がある様に、あの三人にも同じく意味があると思うのですね」
「はい。恐らく精霊は、人を拒絶し生きることを許さない環境に生きる人々への希望なのでしょう。生きることを拒絶する物を想像しながら、希望を与える。矛盾しているのが世界です。だから、この砂漠に生きる人たちに精霊は等しく訪れ、希望を与える。そして、三人が精霊の力を得た事にも意味がある。この村を守るだけではない、もっと大きな意味が……」
「……、三人は見つけられますかな、その意味を。我々は、その希望の意味を見失ったために、争いを招き、怨嗟の種をこの地に巻いてしまった」
「水と鉄の交換のことですね」
「はい。遊牧の民は、それ相応の共存を基礎にします。食料を作る物、土地を拓く者、織物を織る者、そして鉄を打つ者。その結びつきで成り立ってきました。パチルア王国の水の枯渇は致し方のないことです。鉄こそが彼らに血肉です。そのために水に困ったのなら、我々が分け与えることが不文律です。だが、それが成り立たなくなった時、我々は彼らを拒絶してしまった。皮肉にも、その後に彼らがもたらした鉄によってこの村は救われた。結びつきが立たれれば、この村のあり方も変貌する。結果として今の戦いがあるのです」
「未来を選ぶのは、必ずしも幸福だけではありません。哀しいことですが、不幸と幸福が存在する矛盾もまた、世界のあり様です。先王はそれでも分別のある人間だったようですが」
「ラーシド王ですな。彼の善政は伝え聞いております。彼の治める国は騎馬民族でして、圧倒的な軍事力を持っていますが、遊牧民の気質を色濃く持っており、周辺との共存を決して崩さない王でした。ある意味、鉄を我々にもたらしてくれたのも彼の方針でしょうし、水がでなくなった我々の村に不可侵を暗に約束したのもラーシド王の気質でしょう。しかし、病で亡くなっていたとは。それが悔やまれます」
アーディブ村長の言葉に嘘はなかった。彼は顔に深い後悔の念を浮かべながら頭を抱えている。それは、彼の先代の指導者が犯した間違いを悔み、今は敵対関係にある国の先王の死に深い禍根の思いを持つなど、演じてできることではない。その姿からでも、ラーシド王と言う人物の人間性や治世がどのようなものであったか、ノルンにも十分推察できた。だが、どんなに悔やんでもその人物はいないのだ。今を生きる者は、過去に学び、今できることをするしかない。
「とにもかくにも、パチルア王国がどんな経緯で崩壊していったのか、おおよその話は聞いていますが、真実は自分の目で見る必要があるでしょう。それを知った時、昔の過ちを乗り越えられるはず」
「できますでしょうか」
「私は信じています。そうして、この地で皆が生きてきた。希望の象徴である精霊の力を受け継いだ三人に課せられた役目、存在の意味はそこなのかもしれない。砂漠の民に等しく与えられる希望の意味。それを見つけられなければ、希望は消える。彼ら自身が自らに与えられた力と存在の意味を理解し、すべきことを見つける時、怨嗟の種は摘み取られるはず。そんな運命の糸を選ぶ事がきっとできます」
「そうですか……。あなたの言葉を信じたいものです」
「信じるべきは私ではありません。あの三人です」
二人は、真剣な表情を浮かべながら見つめ合うと、口元から笑みをこぼし、笑い声を上げた。二人とも思いは一つ、アータル達が選ぶ道を信じることに違いはない。
その時、門番達が騒ぎ出す声が起こった。ノルンとアーディブは立ち上がって、門の所に戻って見ると、見張りの男が駆け寄ってくる。二人は、見張りの男から、何が起こったのかを詳しく聞く。
「何があったのだ」
「敵襲です。丘の上に二十人弱ほど並んでいます」
「随分と少ないではないか。数は確かか」
「丘の向こうは見えませんが、火を起こしている要素もありません」
ノルンとアーディブは顔を見合わせた。夜襲にしても数が少な過ぎるのだ。昼間捕らえた兵の数もそれなりだが、かといって、わざわざ夜に攻め込んでくるにしては中途半端すぎる敵の天海の死阿多に、ノルンもその意図を見いだせないでいる。
「村長、彼らの武器は」
「剣と弓、槍。後は盾です」
「なるほどね。鉄が枯渇して武装できないか、兵士の頭数が揃わないか。どちらにしても、探ってみないとね」
「戦われるのですか」
アーディブ村長は、ノルンを心配する様子で見つめている。恩人であり、理解者であり、その上、自分の孫のような年齢に見える彼女を戦場に出す事に後ろが見引かれる思いなのだ。しかし、そんな彼を安心させるように、ノルンはいつも通りの顔で語りかける。
「安心して下さい。私は死にませんし、今までもそうやって生き延びてきました。それに、アープとの約束がありますから」
「アープと一体、何を約束したのですか」
「自分達が留守の間、ここを守って欲しいと。私、彼女の事が気に入っていますから、約束は破れません」
そう言いながら笑みを浮かべたノルンは、門を開けて、一人砂漠へと足を踏み出していった。ノルンは加の上に他てゃだかる兵士たちに向かって一歩ずつ歩み寄る。腕からブレスレットを外し、二本のレイピアに変え、それらを器用に手首を使ってくるくるとまわしながら、相手を牽制している。青いレイピアの輝きは、まるで彼女が手に青い炎を宿している様に村人には見え、息をのんで見つめているが、兵士達は微動だにせず、表情も読めない。だが、その理由が一つの回答をノルンに与える。
それは、隠しの一手があるということ。ノルンは確信した。無防備を装って接近しているのにも関わらず、まるで動きを見せないのは、死角に何かを隠しているためだ。問題は、肉薄する距離まで接近しているにも関わらず、未だに手の内を見せないことだ。武器を隠すにしても、引きつけすぎる。長髪の意味もあるのかもしれないが、たとえそうであっても、ノルンには己を自制させる精神力がある。問題は、そこまで自信を抱かせる何が後ろにあるかだ。手の内がわからないなら、出させるしかない。出すタイミングをノルンが決めれば、五分五分の条件になる。そう決意し、彼女はは一気に走り出す。
それと同時に、へ死の後方の丘の向こう側から、砂煙が激しく上がった。何か出てくるのは予測した上で誘ったノルンだったが、目の前に現われた者は、完全に彼女の予想の範疇の外にいるものだった。
現われたのは、巨大な鉄の塊、一瞬ノルンの目にはそう映った。だが、その鉄の塊には長い首と頭があり、四本の足も備えている。異形のものに、接近はこれ以上危険だと判断したノルンは、足を止め、距離を取ろうとするが、巨大な鉄の固まりは、彼女に避ける間を与えずに肉薄し、胸元に飛び込んで、ノルンの体をかち上げて十数メートルも吹き飛ばした。自らの敵を吹き飛ばした鉄の塊は、そこで天高く咆哮を上げる。
その正体は馬だった。馬と言っても、背の低いロバやスリムな軽種のような体系でもない。暑い砂漠には不似合いな長いたてがみと巨大な体躯を持つ、重種の巨馬だった。しかも、その体には、兵士の鎧と同じ作りの装甲を全身に施され、頭部には甲冑をつけ、背には物々しい鞍、胴体部分にも至る所に鎧を装着されているのだが、元々力が強い馬が、金属生命体で強化されているため、全くスピードが落ちることなく、怪力と高速の動きを兼ね備えた、ノルンにとっても厄介な敵だ。
不意打ちを食らい、予想以上のパワーの攻撃を受けたノルンは、砂まみれになりながら倒れている。常人以上とはいえ、生身の体にレベルを合わせている今の彼女には、少し許容範囲を超えるダメージが体に残っている。口から砂を吐きだし、ようやく体を引きずり起こしたノルンの背中に、鋼鉄の鎧で装甲した馬が再び突撃し、彼女を突き飛ばす。その様子を見ていた村人たちは、恐怖と衝撃の余り、体を動かすどころか、声を上げることしかできない。だが、彼らをさらに驚かせるように、ノルンはむくりと起き上がり、鋼鉄の鉄騎の方に向き直った。常人であれば、体がバラバラになって死んでいる様な激突を受けながら、生きているだけでなく立ち上がる不死身の彼女に、村人は戦慄すら覚えている。その一方でノルンは、口の中を切ったため、中にたまった血を吐きだすと、何とも言えない笑みを浮かべながら、馬を見据える。口から出てくる言葉には、笑みと怒り入り交った、不思議な口調が伴っていた。
「やるじゃない。と、言いたいところだけど、今のは本気でヤバかったわ。砂の上じゃなきゃ、立ち上がれなくてとどめを刺されていたわ。でも、私はこうして生きている……。その意味、教えてあげるわね。ついでに、その鎧も脱がしてあげる。可哀想だからね。少し荒っぽいけど、それはお返しよ」
ノルンは指輪をかざして光の魔法人を形成し、光の戦士へと姿を変える。馬は、その変化に全く動じることなく、角などが装飾された兜をつけた頭から突っ込んでいく。ノルンは、両手を添えた掌底で、それを受け止める。二人の力は互角となり、馬の首を尾は縮み、ノルンの足は砂に沈む。だが、力一辺倒の馬では、知性と経験と技術があるノルンには到底かなわない。ふっと力を抜き、相手のバランスを崩すと、ノルンは相手の力を利用して自分の体をはね上げさせ、宙に舞う。そして、ひねりを加えながら体を馬の背中の鞍に着地させる。
自身の背に飛び乗られたことに誇りを傷つけられた馬は、何とかノルンを振り落とそうとするが、その間にも彼女は相手の鎧を叩き壊していく。
「暴れんじゃないわよ。せっかく、このうっとしい鎧から逃がして上げているんだから、感謝しなさい。……、さてと、この鞍も外しましょうねっ」
ノルンは鞍の上に立ち上がると、手で強引に引き剥がしてしまった。鎧の大半を失った馬は、次第に体が抜け始めているが、未だ凶暴性は衰える事を知らない。唯一残った装甲の兜を突きだし、ノルンに猛烈な突進を仕掛けてきた。ノルンはそれに対し正対し、じっと距離を測る。そして自分の間合いに入った瞬間、垂直に飛び上がり、相手の兜に向かって力を針の穴の小さな点に集中させて蹴りを放った。足が当たった瞬間、体の馬根だけで即天使、馬の突進をやり過ごす。そして、すれ違いざまに、馬の最後に鎧は砕け散った。
ノルンが後ろに目をやると、馬から鎧は外れたものの、その影響で精神が恐慌状態に陥って暴れているのが見える。目は血走り、息は粗く、ひどく汗をかいている。暴れていると言うより、悪夢にうなされているのかもしれない。ノルンは、その姿を哀れに思い、馬に近づきながら、
「もう終わったわよ。あなたにも罪はない。今、夢から覚めさせてあげる」
と語りかけた。その言葉と共に、彼女の指が印を結び始める。見た事もない形に指が結ばれ、その度に柔らかな光がそこから溢れ、暴れ回る馬を照らしていく。そして、光に照らされた馬の目から、怒りや脅えが言え、光に同調した穏やかなものになっていくと、そのまま砂の上に座りこみ、穏やかな表情で眠り出した。どうやら悪夢が終わったようだ。
ホッとした瞬間、ノルンの足から急に力が抜けてしまった。エネルギーが急激に危険域に達し、このままだと消滅の危険がある。それを悟った彼女はすぐに人間体の姿に戻ったが、体の自由がなかなか戻らない。いくら、エネルギーの消耗が激しいと言っても、ひどすぎる状態だ。首からも力が抜け、うなだれているノルンは、ふとある事に気がついた。
「砂が、光っている……」
彼女は、砂をすくい取り、目に近付けてじっと眺めている内に、その特別な目で一つの事実を発見した。
「太陽の光を反射、いえ、遮ぅているほとんど不可視の光線が放射されている……。これが、正体不明のエネルギー、ダークエネルギーの一種なの」
観測も難しく、性質も特定が難しいダークエネルギー。それ故に、どんな作用をもたらすのかも不明だと、着任前にレクチャーを受けてはいたが、まさかこんな形で出会うとは、ノルンも予想外の出来事だった。昼間の戦闘での急激な消耗、日没後の戦闘による致死に至るエネルギーの枯渇。ダークエネルギーがノルンの肉体へのエネルギー供給を阻んでいたと考えれば、エーテル不足のこの星での予想以上の消耗は納得はいく。だが、納得入っても予想できなかった以上、次の予想もできていないのだ。ノルンと言う、一番の障害を押さえた兵士達は、丘を一気に駆け下りて、彼女の許に殺到してくる。ブレスレットを抜いて応戦しようとするが、腕も思うように動かず、立ち上がることすらままならない。それでも、ノルンは、必死に膝を立て、戦う意思を見せる。何故なら、彼女にはここで死ぬ気はない上、村を守る事がアープとの約束があるからだ。それに、彼女の中には、まだやるべき事もやりたい事も残っていると言う思いもある。
その意思が、体の限界を無視してノルンを立ち上がらせた。その時、彼女の後方から大声と足音が聞こえてきた。村人たちが、ノルンの姿に呼応して、村から打って出たのだ。彼らは、農具を武器に兵士に掴みかかり、押し倒して鎧を脱がしていく。戦うべき相手、方法、そして勇気を手に入れた今の彼らなら、操られて心もない操り人形など怖くはないのだろう。そして、命を奪わずに解決できる方法を手に入れた。ホッとして、その場に座り込んだノルンだったが、その隙をついて、敵が一人襲いかかってきた。至近距離だが、ノルンに焦りはなかった。面倒くさい、その程度にしか思わず、シャインブラスターを抜こうとした瞬間、脇から飛び出してきた影が、ノルンの小さな体を脇に抱えて、その攻撃から庇ったのだ。さすがにこれには驚いたノルンだったが、その正体を知ってさらに驚いた。
「……、バーガル。あなた、ここで何しているの」
ノルンを庇ったのはバーガルだった。確かに拘束していた縄をほどいたのは覚えているが、どうしてここにこられたのか、ノルンには、すぐには理解できなかった。
「アーディブ村長殿です。ノルン殿の危機を知らせて、何とか助けて欲しいが、村の男では、恐らく歯が立たないと。それで、あの方がすべて責任を持つと言ってここに来たのです。少々お待ちを」
バーガルはノルンを地面に下ろして立ち上がると、彼女を狙って再び向かってきた兵士の前に立ちはだかった。そして相手が向かって来る隙をついて、武器を取り上げ、体を抱えあげると頭から砂の上に叩き落とした。そして、手際よく、呪いの鎧をすべて脱がせて事を済ませた。ノルンも、その手際の良さと強さには、舌を巻くより他ない。
「あなた、強いのね。今まで会った生身の人間では、あなたが一番強いわ」
「恐れ多いことです。ノルン殿、恐らく、パチルア国の兵士は、もう遠征不能でしょう。ここに居る者と昼に捕らわれた者を除けば、もう国を守る最低限の兵士だけです」
「そう。嬉しい話と言いたいところだけど、まだ、そうとも言えなくてね」
「どう言う事ですか」
「血の気の多い馬鹿が、敵の大将の居る本丸に飛び込んでいくつもりなのよ」
ノルンは手短に、アータル達がパチルア王国に奇襲をかけに行った事を伝えた。まだ、可能性の話だが、アータルの気象や根性を考えれば、先に突撃を始めてしまうのは目に見えている。そうなれば、後から行く二人も否応なしに戦闘に入る。問題はその後だとノルンは考えている。アータルはさすがに民間人に手を出すつもりはないだろうし、兵士の命を奪う気もないだろう、問題は、将軍と王だ。王に手を出すと、悲劇の泥沼化に陥る恐れが大きくなるし、ややこしい国際問題に発展する。そして、将軍に手を出した場合、勝てる保証がある様にはノルンは思えなかった。金属生命体に指令を出せるとなると、かなりの生命体と融合しているはずだし、能力もけた違いなのは、彼女でなくても想像がつく。あの三人がばらばらで戦う限り、殺される確率は高い。ノルンの考えにバーガルも同意した。
「ノルン殿の言う通り、将軍の強さは、想像を絶します。そこが知れないのです。そして、、何よりも王に手をかけてはなりません。確かに、あらゆることに責任を追う御方ではありますが、実権なき王であり、将軍にすべての実権を握られいるだけです。万が一、王を失う事になれば、パチルアは強大な国家や遊牧民の侵入を受けて、街が砂漠に呑みこまれる前に滅びます。それは、この村にも関わること。砂漠の民は、ばらばらに暮らしながら、一つの世界に生きるのです。我らは、まだ王を必要とするのです……」
「そこを彼らがわかっていていくれればいいけど、まだ厳しいかな……」
「一番危険なのは、将軍の強さ。もはや人ものではありません。あの力は魔物と言っていいでしょう。鎧は生き物のように形を変え、武器は蠢きます。あの化け物さえいなくなれば、我々同様、正気に戻るのでしょうが、今のままであれば、あの三人はおろか、ノルン殿ももしかしたら……」
「でも、私の場合、それが仕事よ。あなたと一緒だから。どちらにしても、私が行かなくちゃ」
ノルンは重い体を引きづり起こし、パチルア王国の方へ歩き出していった。当然、バーガルは止めようとするが、彼女はその手を振り払う。
「放してよ。言ったでしょ、これが私の仕事だって。私もあなたも戦士。戦士は殺戮のために戦うわけじゃない。少なくとも私は、助けを求める人を守るために戦いたい。今、助けを求めているのは、砂漠の民。声が聞こえているのに、黙っていられないの。それに、私はそう言う性分だから」
「性分、ですか。そう言えるノルン殿が羨ましい。ですが、砂漠を徒歩で越えるなど、無茶です」
「まあ、今のままならね。日の出がくれば力は戻る。でも、日の出を待っていたら、まずい事態になる可能性がある。それなら、今から出発して距離を稼がないと」
ノルンは、バーガルを振り払い、歩きだしていった。すると、ノルンのそばで、ドスンと言う音が鳴り響き、何かと思った彼女は音のした方に目をやると、そこには、先程助けることに成功した、青光りする黒い毛色の巨大な馬が膝まづいていた。馬はじっとノルンの目を見つめている。
「何なの、あなた。さっきの仕返し、というわけじゃないみたいね。……、もしかして、乗れって言っているの」
ノルンがそう語りかけると、馬はいななき、さらに体を低くし、彼女が乗りやすいようにする。そこにバーガルが駆け寄ってきた。彼もまた、馬に乗る事を勧めてくる。
「ノルン殿、この馬でしたら、日の出までに砂漠を横断できます」
「本当なの」
「我が国は、騎馬系遊牧民の出。今でこそ定住し、馬を必要とする事はなくなっていますが、王家に献上する馬は、野生に放した馬の中で最も速く、強く、賢く、気高く、渇きに耐える馬が選ばれます。この馬は、そうあって選ばれた馬なのです。しかし、王家の馬まで持ち出すとは、何とも嘆かわしい……」
「そんな国を救うためにも、私は行くから。それに、パチルアで育った馬が、国を守るために一肌脱ぐなんて、すごく粋じゃないかしら」
ノルンは馬に飛び乗ると、馬は一気に立ち上がり、ギャロップで走り出し、砂丘を超えていった。ノルンが小柄な上、馬が巨漢すぎるため、ノルンが乗っているようには誰にも見えない。バーガルは、ノルンが見えなくなったとも、祈るような気持ちで呟いている。
「どうか、ノルン殿。わが国だけではなく、砂漠の民すべてのために、力をお貸しください。未来をお守りください……」