「協議の結果」
と、よく通る声で議長役の天使が告げた。
「賛成67票反対33票で、人類粛正議案は可決いたしました」
集まった天使達の間に、どよめきが起こる。
「しかし、人類だけを滅ぼすことが果たして可能なのでしょうか?」
若い天使が告げる。
この天使は、人類が滅ぼされる事には、異論はないようだ。
「多大な犠牲は出るでしょう。しかし、あの星の調和を乱す人類をこのまま放置することは出来ません」
議長の言葉に、人類粛正に反対していた天使たちが落胆の息を吐いた。
言いたいことは色々あった。しかし、彼らは多数決で負けた。天使たちの中には、人類を悪と見なす者の方が圧倒的に多いのだ。
「しかし、私たちはかつて、人類の誕生に希望を描いていた事も、事実です」
と、何かを思い出すように議長が目を閉じ、告げる。
「その最後の希望と彼らの未来を、ひとりの人物に託してみてはどうでしょうか?」
「何が言いたいのですか?」
別の天使が議長に詰め寄る。
「最後に抵抗ぐらいさせてやろうと言っているのです」
「その人物とは?」
期待と戸惑いの視線の中、議長は小さく首を振った。
「これで、決定したいと思います」
議長の手に握られたのは六面のダイスが二つ。
「このダイスが指し示す相手が、人類の未来を担っているのです」
こうして、賽は投げられた。