「協議の結果」
議長役の天使が、おもむろに告げた。
「満場一致にて、人選の再選択をしたいと思います」
一斉に拍手が起こる。
このまま終わらせるのは、あまりにお粗末だというのはが、天使たちの出した結論だった。
「しかし、どうやって?」
若い天使が尋ねると、議長は手にした六面体のダイスを皆に見せる。
「それは、ちょっと」
別の天使が嫌な顔でそのダイスから目を背けた。
「完全ランダムは、やめませんか?」
「しかし、こちらで選ぶのは公正さに欠ける」
天使たちには長い長い時間がある。
だから一度議論を始めると、それは数年から数十年は続くのが、普通だ。
今度の議論も白熱しているように見えるが、きっと長引くだろう。長引く筈だ。
戦争は起こらなかった。
『予言の書』に書かれた通り、人類は自ら滅びの道に進む程に、愚かではなかったということか。
人類存続派の第一人者だった天使、ひとりの人間にシシュフォスという名で呼ばれた天使は、小さく嘆息した。
戦争は起こらない。
そして議論が続く間、天使達による粛正はない。
ダイスによって選ばれ、人類の運命を担った人物は、計らずして人類を救った。という事か。
そう考えて、茶髪の天使は、満足そうに微笑んだ。
―了―