from 不条理
sub 『予言の書』
『20××年3月30日 千葉県某市に巨大竜巻発生。某テーマパークに甚大な被害』
そのメールを受け取ったのは、私が戦う事を決めてから3日後だった。
回避出来ない自然災害の発生は、私の想像の範疇だ。
だから、それが起こった時の対応策も既に検討済みだった。
しかしよりによって春休みのテーマパークを狙うなんて、あの天使―私の中では「不条理」と呼ばれている―は、やっぱり性格がかなりひねくれている。
メールをコピーし、手近な掲示板に貼り付ける。
記事名は「予言の書」でハンドルネームは「天使」とした。
それを私は延々と繰り返した。それはもう手当たり次第に。
マルチポストだとか荒しだとか言われていたらしい。記事もかなり削除された。
それでも私はその日までそれを繰り返した。
そして3月30日、某テーマパークに閑古鳥が啼いた日。
本当に巨大竜巻は発生した。
「天使」を名乗る予言者の出現は、一躍有名になった。
私が投稿した掲示板で、「天使の正体を探れ」的なスレッドも立ったという。その私が何の反応もしなかったので、様々な予測が乱れ飛んだだけで終わったようだけど。
みんな、勘違いしている。
予言が当たったことが、すごいのではない。この予言は絶対に現実になる。
その怖さを、私は身を持って思い知ったのだから。
でも、これで地盤はある程度固まった。
自然災害にはこれからも「天使を名乗る予言者」が、力になってくれるだろう。
これは、私にとってはものすごく大きな前進だった。
と、不意にメール着信音が響いた。
また『予言の書』? 今回は随分早いな。
などと思いながら、メールを開く。
from 不条理
sub これからはちゃんと返信もする事
という、本文のないものだった。
そういえば、掲示板に書き込む事に忙しくて、『予言の書』への返信を忘れていたんだっけ。
あのいつも不機嫌不条理ちゃん、もしかしたら心配してたのかな?
私は「生きてるから安心してね」と書いてメールを返信した。