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頂き物小説 - 新蘭バージョン

📚 目次

1 僕の一番欲しかったもの (1ページ)

📍 新蘭バージョン
1

2 僕が一番欲しかったもの (1ページ)

3 初めての・・・ (2ページ)

4 頑張れ、名探偵 (2ページ)

新蘭バージョン

僕の一番欲しかったもの
1/6 ページ

by向日葵様



「新一!!新一!!」

声が聞こえた。


俺を呼ぶ声。

地獄の底に差し込む太陽の光の様な輝きを帯びて。

その声が俺を呼び続ける。

「ら・・・ん・・・。」

俺は無意識にそう声を上げて、いつの間にか手を伸ばしていた。

その手を強く握り返す感触が今度こそ夢や幻ではない事に気づいて、徐々に俺の意識が覚醒を始める。


そしてゆっくりと瞼を上げて目を開いた。

その瞬間、俺の視界に映るのは、大きな目を涙で潤ませて俺の顔を間近で覗き込む蘭の姿。

「蘭・・・どうして、ここに。」

そう呟いた俺に蘭が俺の手を強く握り叫んだ。


「バカッ!またこんな無茶して!!死んじゃったらどうするのよ!!」

そう言って蘭がベッドに横になったままの俺の胸に顔を押しつける。

「哀ちゃんに聞いたよ。新一がコナン君だったって。それで危ない組織に狙われててずっと姿を隠してたんだって。」

そう祈る様に両手で俺の掌を包み込んで顔を上げる。


「何で言ってくれなかったのよ!?言ってくれれば私・・・!!」

そう込み上げるものを抑えきれない様子で蘭がもう一度俺の胸に顔を押しつける。


俺はというと・・・すぐに起き上がって蘭に「心配すんな!!」と言って抱き締めてやりたいと強く思う。

けど、組織との戦いで重傷を負いそのまま病院に運び込まれて手術を受けた俺はたった今目覚めたばかりで、起き上がる以前に自分の腕を上げる事さえままならない情けない状況で。


そんな蘭に俺から言える事は。

言わなきゃならない事は一つだけ。

「悪かった・・・蘭。」

俺は正直にその想いを口にした。


ずっと蘭を偽り、欺き、騙してきた。

嘘をついてずっとそばにいたのに伝えてやる事が出来なかった。


言えない俺も辛かったけど、きっと蘭が抱えていた辛さや苦しみはそんなものじゃないと思うから。

だから、赦されなくてもいい。

元の体に戻って、その時が来たら真っ先に蘭に伝えようと思っていた。


「新一・・・。」

「ずっとお前を騙してきたんだ。ちゃんと言いたい事あるなら今のうちに言っとけよ?この体だから、オメーの蹴りを受けるのだけは出来れば勘弁して欲しいけど。」

そう言って苦笑をもらす俺にその泉から湧き出た聖水の様に綺麗な涙が零れ落ちてはその頬を濡らしていく。


「言いたい事・・・。」

そう呟いた蘭に俺は頷く。

「何でも聞いてやるから。」

そう言ってオレは横になったまま笑い掛けると、蘭が俺の首に抱きついて耳元で囁く様に言った。


「好きだよ、新一・・・。」

透き通るその声に俺は一瞬目を見開いた。

「ら・・・ん?」

「ずっとずっと、言いたかったんだよ。言いたいのに新一がいなくて言えなかったんだもん。」

俺はその言葉に何も言えずに頷く。

「ロンドンの返事・・・遅くなったけど。」

「いや・・・。」

俺はひじまで固定されたままの右腕をめいいっぱい気力を振り絞って動かすと、蘭の背中を抱き寄せて言った。

「ただいま・・・蘭。」

そう告げて俺は蘭に顔を寄せて唇を重ねる。


俺が一番欲しかったもの。

あの時思わず口走ってしまった俺の告白の・・・君からの答え。

ずっと聞く事が出来なかったけど。


やっと聞く事が出来た。

伝えてくれた、君の・・・俺への想い。


欲しかったものは君の声。

君のぬくもり。

君の存在そのもの。


それを今、やっと

手に入れる事が出来た。


その想いを全身で受け止めて。

「ありがとう、蘭。待っていてくれて。」

俺は心からの想いを君に伝えた。


頷いた君がオレの髪を優しく撫でて言った。

「もう・・・あんまり無茶はしないでよ。」

その言葉に俺は深く頷く。

「ああ・・・約束する。」


俺がそう答えると、君が穏やかに微笑んで言った。

「おかえり・・・新一。」

俺はその声を聞きながらもう一度、君に口づけをした。