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秋祭りの大獅子 -

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大阪の寝屋川市に住む親友、遠山和葉から、東京の米花町に住む毛利蘭のもとに電話がかかって来たのは、蘭が高校三年生になった九月の中ごろのことだった。


「なぁ、蘭ちゃん。十月の三連休って暇なん?暇なら香川県の冠纓神社ってところで秋祭りをするんやて!一緒に行かへん?」

電話の向こうから、和葉の声が訊こえた。


蘭はカレンダーを見た。


その年の十月の三連休は、八、九、十日だった。


そして連休最終日の十日はーーーーーーーーーーー。


「う〜ん。十月十日はお母さんの誕生日だから、お祝いしようかと思ってたんだけど。お母さんにそう言ったら、その日、お父さんと水入らずで過ごしたいって言われちゃって。」

蘭がやや辛そうに答えた。


そう。


蘭の言うとおり、十月十日は蘭の母、英理の誕生日なのだ。


蘭の父の小五郎と、蘭の母の英理は、十年ほど別居していたのだが、毛利家の居候の小学一年生の少年、江戸川コナンの正体が、高校生探偵で蘭の幼馴染で同級生で最愛の人物である工藤新一だということが明るみになった時、別居を解消し、コナンは新一に戻り、新一として工藤邸で一人暮らしに戻り(新一の父の優作と、新一の母の有希子は、三年ほど前からアメリカで住んでいる。)、蘭と恋人同士になり、入れ替わりで英理は毛利家へ戻って来ていた。


「そうなんや!蘭ちゃんとこのおっちゃんとおばちゃん、うまいこと行ってるんや!よかったやん!」

電話の向こうから、和葉の明るい声が訊こえた。


「そういう和葉ちゃんだってうまくいったじゃない!服部君と!」

蘭がからかった。


去年の秋、和葉の幼馴染で同級生で高校生探偵の服部平次に、大岡紅葉という女子高生が言い寄って来た。

「いとしい、愛しいうちの旦那はん♡」


その様子を見て、平次に密か(?)に好意を抱いていた和葉や、たまたまそこにいわわせた蘭やコナンをあわてさせた。

(へ、平次!?)


(は、服部君!?)


(は、服部!?)


そんな三人の気迫を感じたのか、平次が怪訝気な顔をした。

「は?オレは自分と結婚した覚えはないで!」


「今はな。旦那はんが十八になったら、うちと結婚するんや♡」

紅葉は決めつけているようだった。


(そ、そんな・・・。平次はあの女子高生と結婚するんやろか・・・。)

和葉は落ち込んだ。


そんな和葉を、蘭とコナンが気遣わし気な目で見ていた。

(和葉ちゃん・・・。)


(くっそー!こんなことなら戎橋での服部の和葉ちゃんへの告白の音声データ、消すんじゃなかった!元太たちがダビングした音声データも消しちまったし・・・。)


コナンの言う『戎橋での平次の和葉への告白』とは、大阪の戎橋で、和葉が和葉の知り合いの薬丸という男性(薬丸は大学時代、薬学部だった。)ともめた時、薬丸の首を掴んで、「なんや、こら!!お前、オレの・・・、オレの和葉に何さらしとんじゃ!!」と怒鳴ったことだ。


コナンはその時、小嶋元太と円谷光彦と吉田歩美と灰原哀と共に東京にいて、スマホで平次と話をしていて、平次の告白をスマホに録音したのだが、そのあと、それを消していた。


そして元太たちもその音声データをダビングしていたのだが、平次の気迫に押され、消していた。


「済まんけど決めつけるんはやめてくれへんか!第一、オレには好きな女がおるんじゃ!」

平次が怒鳴った。


平次のそのセリフに、和葉はますます落ち込んだ。

(そ、そんな!もうアカン!もうなんもかんもおしまいや!)


そんな和葉を、蘭とコナンがハラハラしながら見ていた。

(和葉ちゃん・・・!)


(あ〜!もう!和葉ちゃんにさっさと告らねーからこんなことになったんだ!)