約束 〈プロローグ〉
「逢いに行くよ。ヤックルに乗って…。」
アシタカがその約束をしてから、早くも2週間が経っていた。
無論、その約束を忘れていた訳ではなかったのだが、タタラ場の復旧作業に追われ、
森に行くどころか、まだ1度も護衛以外でヤックルに乗ることすらできていなかったのだ。
「もう2週間か…サンは、どうしているだろうか…。」
そんなことを考えながら、アシタカは、片腕を失って間もないエボシの代わりに、
米の運搬をしている牛飼い達の護衛をしているのであった。
タタラ場と森とが争うことは無くなったのだが、地侍達が、また
襲ってこないとも限らない。
「いかん…集中していなくては。」
護衛の仕事には、自分の命、牛飼い達の命がかかっている。それに米が届かなかったら、住民達の命にも関わるのだ。
それにタタラ場の復旧作業も、まだまだ残っている。アシタカは2週間働き詰めだった。
「ようやくか。」
最後の牛飼いと、米を運んできた牛が門の中に入ったのを確認したアシタカは、
自身もタタラ場へと入っていった。
「ヤックル、今日も大変だったな。」
タタラ場に入ると、アシタカはヤックルを労わった。
「私はすぐに行かないといけないから、構ってやれなくてすまない。」
ヤックルの首を1撫ですると、アシタカは復旧の手伝いへと戻っていった。
「アシタカ様ぁ〜こちらもお願いします!」
「わかった!すぐに行こう!」
アシタカの体力は、最早タタラ場に欠かせないものとなっていた。
その次の朝、アシタカは体に異変を感じたが、
〈今晩休めば大丈夫だろう…〉
と考え、今日も作業を手伝うのであった…。