『異界』
「う……んっ?」
鋼牙が目を覚ますとそこは職員室のような場所……というより実際職員室なのだが、なぜか鋼牙は何時もと違う格好、教師らしい服装を着ており、なぜ自分がこんな場所にいるのか困惑していた。
左手を見るとそこには自分の相棒、ザルバがあるのに一安心し、ザルバに心で会話する「念話」を使ってザルバと話し合う。
『ザルバ、ここはどこだ?』
『さあな、ただ1つ言えることは、あのホラー、倒される瞬間に能力が強制発動しちまって暴走、周りに時空の歪みを与えたんだろう』
『つまり……?』
鋼牙の質問にザルバはこう答える。
『時空を超えるってのは世界を渡ることもできる。 要するにここは異世界のようだ』
『異世界……元に帰る方法は……、今の所分からないか』
そこに、メガネをかけた1人の女性教師と思われる女性が鋼牙に話しかけてきた。
「あの、すいません。 今日新しく副担任になった冴島さんですよね?」
「副担任?」
鋼牙は理解した、この世界では自分に役目が与えられている、それがこの女性が担任をしているクラスの副担任なのだと、鋼牙は理解したのだ。
(しかし、なぜ副担任なんだ?)
そんな疑問は兎も角、この女性「早乙女和子(さおとめかずこ)」について行き、教室へと案内されて向かう。
だがその途中、和子は足を止めて鋼牙に振り返る。
「どうした? 授業に遅れるぞ?」
(相変わらず普段は無表情だな)
ザルバがそんなことを考えているが、和子はあることを鋼牙に聞きだした。
「あなた、卵の焼き加減について……どう思いますか?」
鋼牙は「はっ?」という表情をしている。
「答えてください!! 卵の焼き加減にあなたはイチイチ、ケチつける人ですか!!?」
鋼牙に詰め寄る和子、鋼牙は和子から離れ、間をとる。
「別に不味く無く、味が悪く無ければ良い、食えればなんだって構わん」
和子はその返答に「えっ?」と驚いた表情をしており、鋼牙は教室の場所を和子に尋ねる。
「(まあ、ゴンザの料理が1番だが)それで、どこの教室だ? 早くしないと遅れるぞ」
「あっ、は、はい……//」
なぜか顔を和子は赤らめており、鋼牙と共に教室に向かった。
その後、なにやら転校生もいるらしいので行く途中、ある場所で待って貰っていた黒く長い髪の少女「暁美(あけみ)ほむら」を迎えに行った後、鋼牙達は教室に向かい到着。
教室には和子が先に入り、呼び出しがあるまで廊下で待っていることになった鋼牙とほむら。
「「……」」
廊下で2人は黙ったままだった。
鋼牙は大してなにも考えていない、対してほむらは……。
(こんな男の人、今までいなかったのに……。 まあ、ただの教師ならなんの問題も無いわね。 キュゥべえは男は魔法少女なんかにはなれないと言っていたからきっと何の問題も無いだろうし。 今までと変わらず、まどかを……)
心の中で今、ほむら教室の中にいる桃色の髪をした少女「鹿目(かなめ)まどか」のことを思いながら、教室の様子を伺っている。
そして教室にいる和子は教卓を両手で叩き……。
「皆さん、今日は先生から大事なお話があります……。 いいですか女子の皆さん!! 卵の焼き加減にケチをつけるような男とは交際しないように!! そして男子は『上手ければなんだって構わん』と言える男になるように!!」
(それは、俺のことか……?)
と思いながら教室の様子を見ていた鋼牙とほむら。
(この譲ちゃん、なんか鋼牙と雰囲気似てんなぁ)
ザルバがそんな事を思っており、教室では先程のまどかが男勝りで青い髪をした少女「美樹(みき)さやか」と話していた。
「あっちゃ、今回もダメだったか」
「でも、なんだか先生の台詞から見るともう新しい人見つけた感じだよ?」
苦笑いしながらそう話し合うさやかとまどか。
「あー、あと転校生と新しい副担任の先生を紹介します」
ケロッと態度を変えて笑顔で鋼牙とほむらが入ってくるように言い出す和子。
「いやいや、そっちが先でしょ!?」
さやかのツッコミに担任は気付かず、まどかはさやかに転校生が入ってくるか、さやかと一緒に予想して見る。
「もしかしてリーゼント頭で学ラン着て『この学校の生徒全員と友達になる!』とか言う人が入ってくるのかな?」
「有り得るかも、そんで『宇宙キターーーー!!! タイマンはらして貰うぜ!!』とかいう感じの人とか?」
それは無い。
まどかとさやかが笑いながらそんな会話をしており、鋼牙とほむらが教室に入ってくる。
(普通俺達が先じゃないか?)
黒板にチョークで名前を書く鋼牙とほむら。
「暁美ほむらです。 よろしくお願いします」
(予想してたのと全く正反対そうなのキターーーー!!!)
自己紹介を終えるほむらと、予想していた人物と正反対のほむらにそんなことを思うさやかだった。
まどかはほむらの姿を見て夢の中で会ったような気がしていた。
(あの人……夢の中で)
「それにしてもすっげー美人だし、副担任とかすっげーイケメン」
だがどちらも無愛想な顔をしている。
「冴島鋼牙だ」
(えっ? あの先生はそれだけ?)
*
その日の放課後、鋼牙は元の世界に戻る為の手がかりがないか街に出かけて探っていた。
因みに、魔戒剣が見当たらないと思えば自分の意思で出したり消せたり出来るようになっており、今は何時ものロングコートの服装である。
さらに、仮面の男に刻まれた呪いの証、何故か今は「破滅の刻印」が消えていた。
『こんなウロチョロしてるだけでなにか手がかりが掴めるのか?』
「他に方法は無いだろう、じっとしているよりかマシだ」
しかし、あちらこちらに行っても全く何の情報も無い。
『所でよ、鋼牙。 ずっと気になってたんだが』
「なんだザルバ?」
『鋼牙の住む場所……どこだ?』
「……」
ザルバの言葉に、黙りこむ鋼牙。
「野宿か」
『マジかよ……』
その時、丁度鋼牙は「ツ〇ヤ」の近くにおり、そこからまどかが飛び出してきて何処かに走って行く。
「んっ? あいつは確か……クラスにいた」
鋼牙は制服を着ている為もあり、まどかの顔を覚えていた。
それに続き、さやかも飛び出してまどかを追いかける。
『なんか、嫌な予感がするぜ』
「あぁ、追うぞ」
鋼牙もさやかとまどかの後を追いかける。
*
薄暗い場所、そこで傷付いた兎と猫を合わせた不思議な生物がおり、うめき声をあげている。
「う……うう……」
丁度そこにまどかが来て生物を抱える。
(あれ? この子……)
実はまどかはこの生物もほむら動揺夢の中で出会っていた。
「凄い怪我してる。 どうしたの!?」
まどかが心配そうに生物を見る。
「そいつから離れて!!」
そこに黒い衣装を着たほむらが現れた。
「えっ……ほむらちゃん!?」
「そいつを渡して」
まどかを睨みつけながら、生物を渡す様に言うほむら。
「相変わらず汚い真似するのね」
その言葉は生物に対する言葉だろう。
「ほむらちゃんがやったの!? ダメだよ、こんなこと!!」
「鹿目まどか、あなたには関係無いわ。 どかないと言うのなら……」
その時、消火器をさやかがほむらに目眩しの為に使用し、さやかはまどかの手を掴んで共に逃げだす。
「逃げるよまどか!!」
「さやかちゃん!」
ほむらは追おうとするも背後に髭を生やし、花に髭が咲いたような身体を持つ怪物「魔女の使い魔」が現れた……。
「くっ、相手してる場合じゃないのに……!!」
*
その頃、ほむらから逃げているさやかとまどかは……。
「なんなだよあいつ!? コスプレ通り魔!? ていうかまどかそれなに!? ぬいぐるみとかじゃ、無いよね?」
「う、うん。 でも凄い怪我してて……」
その時、まどかとさやかのいた空間が「歪み」だした。
周りはまるで落書きをしているかのようであり、また彼女達の前に先程と同じ姿をした小型の魔女の使い魔が現れ、まどかとさやかを囲む。
「ひっ、なにこれ!? こっちくんな!!」
使い魔がまどかとさやかに襲い掛かった時。
突然飛んできた魔戒剣により、使い魔は弾かれるかのように吹き飛ぶ。
【キシャアア!!?】
空中で回転する魔戒剣を鋼牙が見事にキャッチし、魔戒剣を構える。
「ザルバ、なんだこいつ等は?」
『さあな、ただホラーじゃないってことと、邪悪な気配を発してるって所だな。 唯一分かってるのは』
【キシャアアアアアアアアアア!!!!!】
使い魔達が物凄いスピードで鋼牙へと襲い掛かるが、鋼牙はジャンプして使い魔1体を踏み台に飛び上がり、そのまま空中から使い魔達に突っ込み、一瞬で周りにいる使い魔達を魔戒剣で切裂き、先ほど踏み台にした使い魔も一刀両断。
「ハアア!!」
【シャアアア!!!?】
鋼牙は背後に気配を感じ、廻し蹴りを繰り出すと蹴りが使い魔2体にヒットし、さらに襲い掛かってくる使い魔も次々魔戒剣で切裂き、倒して行く。
「「きゃあああ!!?」」
「ッ!」
鋼牙が少し目を離した隙に別の使い魔がまどかとさやかの2人を襲おうとしており、鋼牙急いで行こうとし、ジャンプして一気に2人の元まで行きく。
鋼牙は2人を襲おうとした使い魔の内の殆どの使い魔を魔戒剣を素早く振るって1体を残し全滅させ、その残った使い魔を鷲掴みにした鋼牙は別の方向にいる使い魔の1体に激突させ、その激突した使い魔が吹き飛びまた別の使い魔に激突、よって使い魔達はなにやら喧嘩を始め出す。
「す、すごっ」
「フッ、これで隙だらけだ」
使い魔達に走って行き、隙の出来た使い魔達を次々切裂き、全ての使い魔が全滅した、だが、今度は人間大の使い魔達が現れた。
『どうやらまだいたようだなぁ。 しかも今までの奴より強いんじゃねえか?』
「だったらこっちも本気になるまでだ」
鋼牙は魔戒剣を掲げて円を描き、振り下ろすと光に包まれ、黄金の狼の鎧を身に纏いし魔戒騎士、「黄金騎士・牙狼」となり、背後にまどかやさやかは見た事も無い文字が浮かび上がった円が現れ、それが爆発し、牙狼のバックに炎が燃え盛る。
「な、なんだよアレ……?」
「でも、どこか安心できるような」
さやかとまどかは牙狼に驚きを隠せなかった。
そして牙狼のその炎はすぐに消え、人間大の使い魔達は大量のハサミを出してゆっくり牙狼に近づく。
だが牙狼は逆に素早く動き、ハサミを牙狼剣でいとも簡単に破壊し、一気に本体の身体を切裂き使い魔を倒す。
それを見かねて焦りを感じたのか、残りの使い魔達が一斉に牙狼を斬りつけるが……。
『ジュウ!』という音を立ててハサミが溶けていたのだ、しかも牙狼には大したダメージは一切無い。
鋼牙が纏っている鎧は「ソウルメタル」と呼ばれるもので出来ている、ソウルメタルの鎧をなんの修行もせずにただの一般人などが触れれば、その皮膚を簡単に溶かしてしまい、それは使い魔も例外ではない。
【シャアアア!!!?】
牙狼は牙狼剣で使い魔達を叩き潰して行き、使い魔達と距離をとって間を開けるとライターのようなものを取りだし、緑の炎「魔導火」を牙狼剣に灯す。
「ハアアアア!!!」
牙狼は牙狼剣でXと剣を振るい、X字の緑の炎の斬撃が使い魔達を切裂き、高く飛び上がりその炎を牙狼が纏うことで成り立つ姿「烈火炎装」状態になり、降り立つと本来は下から縦に牙狼剣を振るうが、今回は右から左というふうに牙狼剣を振るい、そこから緑の炎の斬撃が放たれ、横に次々切裂かれて行く使い魔、使い魔達は次々爆発していき、今の一撃で使い魔達は全滅した。
鋼牙は制限時間が限界な為、鎧を解除。
「す、スゲー」
「う、うん」
まどかとさやかが感心しており、空間が元の空間へと戻る。
「あ、あの、先生って一体……?」
まどかが声をかけようとした時、金髪でカールの髪の少女「巴(ともえ)マミ」が駆けつける。
「あら? 魔女の気配がしたのに……ってキュゥべえ!!?」
マミがまどかの抱えている生物に駆け寄り、心配そうに声をかける。
「えっ?」
『鋼牙、まずはこいつ等と話をした方が良さそうだぜ?』
「あぁ、帰る方法も分かるかもしれないからな」
鋼牙はまどか達の元へと歩いて行く……。
*
次回予告。
ザルバ
『よう、お前等もしもなんでも願いが1つ叶っちまうとか言う奴が来たらどうする? もしも信じるなら気をつけた方がいいぜ。 何故なら……。 次回『契約』。 良い話には裏がある』
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因みになぜ鋼牙が教師の役割かと言うと、ほむらの力が関係していたり。