――――――――――――第1話 『黒き破壊者』
その日……「彼」は夢を見た。
そこは荒野で、「仮面ライダー」と呼ばれる仮面の戦士達が黒い仮面ライダーに大人数で戦いを挑んでいた。
しかし、ライダー達は次々と黒いライダーの放った謎の光線の様なものにやられていく。
『うわあああ!!!?』
「仮面ライダー威吹鬼」「仮面ライダーザビー」「ライオトルーパー」がやられ……。
「「ぬあっ!?」」
「仮面ライダー龍騎」「仮面ライダーキバ」がやられ……。
「ぐわああ!!!?」
「仮面ライダークウガ」といった戦士達が次々と倒されて行く。
「彼」と仮面ライダー以外にも……そこには人がいた。
青く長い髪に八重歯を出したドレスの女性が……黒いライダーになにか向かって叫んでいた。
そしてやがて……、黒いライダー以外の……仮面ライダーは「全滅」した。
黒きライダー……、バーゴードの様な顔に青い瞳がある「仮面ライダーダークディケイド」は女性に向かって歩き出し、手を差し伸べた。
「―――――だけは、守る」
だが女性はその手を弾く。
顔は見えないが、「彼」はその戦士が仮面の下で驚愕したような顔をしている様に思えた。
「なんで僕だけなんだよ!? なんでこんなことするのさ!? そんな――――は大嫌いだ!!」
どうもダークディケイドと女性が互いをなんと呼んでるのか聞き取れない。
その時だ、倒れていた1人のライダーが立ちあがる。
クワガタのような仮面に赤い装甲……「仮面ライダークウガ・マイティフォーム」である。
「待て……」
ダークディケイドがクウガの方へと振り返る。
「うおおおお!!!」
クウガの姿が禍々しいオーラと共に変わって行き、黒いボディに黒い瞳……、クウガ最強の姿、究極の闇「仮面ライダークウガアルティメットフォーム」に変身したのだ。
クウガとディケイドは互いに殴り合いとなるが、少しの差でダークディケイドが上回っていた。
距離を互いにとると、どちらも右拳にエネルギーを溜める。
「やめて!!」
女性が叫ぶが2人の勢いは止まらずディケイドとクウガは同時にパンチを放ち……そして辺り一面が爆発した。
*
「やめろおおおお!!!!」
とあるアパートの一室で、黒い髪の男性が布団から大量の汗を流して飛び起きた。
「はぁ、はぁ」と息切れをしており、布団も汗でぐっしょりだった。
男性の名前は「風上龍夜(かざかみりゅうや)」、取り合えず起き上がりカーテンを開ける。
「いい天気だな」
外は晴れていた。
「にしても、またあの夢か。 まるでディケイドの第1話だな」
ディケイドとは今、彼の世界で放送している平成ライダー10周年記念作品「仮面ライダーディケイド」のことである。
(つうかよ、あの青い髪の女の子、完全にあれだよな。 『雷刃の襲撃者』こと『レヴィ・ザ・スラッシャー』だよな、成長した)
「雷刃の襲撃者」とは「リリカルなのは」と呼ばれるアニメのゲーム限定のキャラである。
(そういや、弟はリリなのじゃフェイトが1番好きだったな。 俺は雷刃好きだな、フェイトに似てるからじゃなくて……)
そんなことを思いながら、龍夜は外に出て仕事に向かおうとする。
なんの仕事してるかって?
それは秘密だ。
どの道秘密にしなくても分かる?
さあ、それはどうだろうか……。
「きゃああああ!!!?」
女性の悲鳴が聞こえ、龍夜が気になり急いで駆けつけるとそこには「ブレイドの世界」の怪人「アンデッド」が人々を襲っていた。
「アンデッド!? なんであいつ等が現実の世界にいんだよ!?」
その時だ、龍夜の周りにいた人物もろとも突然現れた灰色のオーロラと呼ばれるものに飲み込まれ、雨の降っている薄暗い場所に出ると「キバの世界」の怪人「ファンガイア」が現れ、人々の生命エネルギー「ライフエナジー」を吸って行く。
「うわあああ!!!?」
「なっ!?」
龍夜はなんとかそれは避けられたが、また別の場所に出てしまう。
「次から次へと……なんなんだよ!」
その時、龍夜の目の前に灰色のオーロラが現れる。
「お次はなんだ?」
冷や汗を流す龍夜。
そしてその中から、夢に出てきた女性……つまり、雷刃が出てきた。
「龍夜ああああ!!」
雷刃は龍夜に飛びかかる様に抱きつき、龍夜はその際背中から倒れこんでしまう。
そして倒れた時、後ろ頭を打ってしまいそのまま彼は気を失ってしまった。
「がはあ!?」
「龍夜? どうしたの!? 龍夜!? 龍夜〜!!!!」
涙目の雷刃は龍夜に馬乗りの状態で彼の肩を揺さぶる。
「あっ、こういう時はアレだよね! 人工呼吸!!」
なにか言い出したよこの子は。
雷刃は自分の唇に龍夜の唇をくっつけると自分の息を龍夜の口の中に吐きだす。
「んっ////むあっ////」
人工呼吸でなにを変な声を出しているのだろう。
そしてそれが成功したのか、龍夜は目を覚まし飛び起きた。
「ななななな/////なにしてんのッ!!!?/////」
「人工呼吸だけど?」
可愛らしく小首を傾げる雷刃。
「つうか、お前雷刃の襲撃者じゃ……」
「今の僕の名前は違うよ、今の名前は『ライハ』って言うんだ。 未来の君に頼まれてきた未来の君の妻だよ? まだ結婚してないけど」
目を点にして唖然としている龍夜、だがライハと名乗る彼女は顔を間近に寄せて龍夜にあることを質問。
「バックルとカードは? まだ見つけてないの?」
「えっ? な、なに!?」
ライハは辺りを見回すと、すぐそこにダークディケイドが腰に装着していたベルト「ダークディケイドライバー」が置かれているのを発見。
ライハはすぐにそれを回収し、龍夜に渡そうとするが、突然彼女の前に「カブトの世界」の怪人「ワーム」が脱皮した状態で4体現れた。
「わあ!? もう邪魔!!」
ワームはライハに襲いかかろうとするが、ライハはダークディケイドライバーを龍夜に投げ渡した。
「僕でもこいつ等の相手は流石に難しい、だから龍夜が変身して!」
龍夜は立ち上がり、ライハに向けて頷く。
「なんかよく分かんねえけど……」
龍夜は腰にダークディケイドライバーを装着、その際左腰にカードホルダー「ダークライドブッカー」が出現し、そこからカードを1枚取り出す。
「やれって言うなら……やってやるぜ、変身!!」
ドライバーの中央にカードを装填し、バックル部を閉じる。
『カメンライド・ダークディケイド!』
夢の中で見た存在、「仮面ライダーダークディケイド」に変身を完了させた龍夜。
ダークディケイドはライハに襲いかかろうとしているワーム達をダークライドブッカーを剣型のソードモードに組み換え、ワーム達を斬りつける。
『ギシャア!!?』
ワームはダークディケイドに対し、超高速移動する「クロックアップ」を発動。
対するダークディケイドもカードを1枚取り出し、カードをドライバーに装填。
『カメンライド・ダークカブト!』
黒い装甲にカブトの様な仮面、「Dダークカブトライダーフォーム」に変身し、さらにカードを装填する。
『アタックライド・クロックアップ』
Dダークカブトもクロックアップを使い、ダークライドブッカーソードモードでワームの攻撃を全て受け流し、自分が繰り出すダークライドブッカーによる斬撃は次々ワーム達に直撃して行き、ワーム達は爆発を起こして全滅した。
『クロックオーバー』
カードが飛び出し、カードに描かれた絵を見ると、その絵は消滅してしまった。
「やっぱりな……」
だが休ませてくれる筈も無く、次は「アギトの世界」の怪人「アンノウン」が3体ダークディケイドの前に現れる。
「人に力など必要ない」
「どうだかな」
ダークディケイドは新たなカードをドライバーに装填する。
『カメンライド・アギト!』
龍の様な金色の戦士「Dアギトグランドフォーム」に変身すると、Dアギトはアンノウン達の攻撃をかわしてパンチやキックを叩きこむ。
さらにもう1枚カードをドライバーに装填。
『ファイナルアタックライド・アアアアギト!』
頭の角のクロスホーンが2本から6本となり、アンノウン1体に飛び蹴り、必殺技「ライダーキック」を叩きこみ、蹴り飛ばされたアンノウンは他のアンノウンを巻き込んで爆発した。
『うわあああ!!!?』
取り合えず、怪人達は一通り片付けたので一旦変身を解除する龍夜。
「やっぱりカッコイイ、龍夜!!」
サムズアップするライハ。
「あのなぁ」
すると今度は突然辺りが暗くなり、龍夜とライハの前に、1人の青年「紅(くれない) 渡(わたる)」が現れる。
「紅渡か」
「僕の事を御存じなんですか?」
龍夜は「一応な」と答える。
「なんだ? 俺に9つの世界でも巡れってか?」
「話が早くて助かります。 9つの世界に、主人公ライダーとダークライダーがそれぞれ9人ずつ生まれました。 ですがそれは独立した物語。 でもそれらの世界は互いを呼び寄せ合って融合を開始し始めました。 それを止めるには……」
「9つの世界を巡ること……」とのことである。
「なんで俺なんだ? 候補他にいねかったのか?」
「ダークディケイドライバーはあなたに強く反応しています、そしてこれも」
渡が取り出したのは、変わった形をした黒いアイテム。
「これは『ブラックスパークレンス』、闇の力ですがあなたなら、使いこなせるでしょう。 それで、行ってくれますか?」
「別に構わない、でも……。 弟が気がかりなんだ」
龍夜には弟がいる、たった1人の弟が。
「安心してください、彼の安全は保証します。 そしてこの世界も、あなたが世界を廻ってる内はなんとか僕と、その仲間が崩壊を食い止めておきます」
「俺にしか、出来ないことなんだな?」
渡は頷く。
「分かった、お前は?」
龍夜はライハを見て尋ねる。
「僕も行くに決まってるじゃん、その為についてきたんだから♪」
「では、別世界に行くための家も用意しておきます」
渡はブラックスパークレンスを龍夜に投げ渡す。
「そう言えば、これなんだ?」
「いずれそれが必要になる日がくると思います、その時になれば分かりますよ……」
辺り一面が輝くと、渡はいなくなっており、そこは「ディケイド」に登場した「光写真館」そっくりの部屋に龍夜とライハはいた。
目の前には背景ロールがある。
「これで行くのか……」
「じゃあ早く行こうよ!」
ライハが背景ロールの鎖に手をかけると新しい絵が降りてくる。
その絵にはあのクウガの戦士の絵が……描かれていた。