その会話は、とある高校の2年3組の教室で行われていた。
「Pコース?」
柊真琴は赤城真也に聞き返した。
「そ。お前『バーチャルワールド』って言うゲーセンのアトラクション知ってるだろ?」
「あ〜、アレね。で、Pコースって何?」
「この間そのBWで世界的に有名なあの家庭用ゲームの世界を冒険できる『Mコース』ってのが出ただろ?」
「うん。」
「今回出た『Pコース』は『ピクミン』の世界を冒険できるんだってよ。」
「おお!」
真琴は目を輝かせて身を乗り出した。
真也も真琴もピクミンの大ファンなのだ。
「それで、同級生達に誘われたんだけどお前も来ないか?っていう話。」
「マジ!?」
「まじ。」
「よっしゃ!・・・・・あ。でも男友達の中で女子があたし一人ってのは・・・」
「ああそこは問題ない。実はあのゲーム、カップルじゃないと遊べないらしくてさ。皆彼女連れてくるって言ってた。」
「え?あんた彼女いないじゃん。」
それを言うと真也は大きくため息をついた。
「だからお前を誘ったって言うのによ・・・俺誘われたときに彼女いるってはずみで言っちまったんだよ!周りで遊びに誘える女子幼馴染のお前しかいないんだよ!このままじゃ何言われるかわかんないじゃんかよ!頼む!彼女役演じてください!」
そう言って真也は思いっきり土下座をした。
大声出した上に土下座までしたのでクラス中の視線が二人に突き刺さる。
「・・・え〜と・・・わかった。わかったから!頭上げてよ!こっちが恥ずかしいから!」
と言うわけでその週の日曜日にバーチャルワールド略してBW(バーワー)
のあるゲームセンターに行くことになった。
そして日曜日。
季節は冬だったので二人は厚着をして出かけた。
そしてゲーセンに向かった。
真也たちは集合時間よりかなり早く来たつもりだったがゲーセンのBWの入り口付近には彼の同級生がすでに全員揃っていた。
「おせーよ」
そう言ったのは黒田重希。
行動力はあるのだが真也と同じように単純でよく考えない男である。
「まあ集合時間よりだいぶ早いけどね。」
青山輝樹。臆病な性格だがそれ故に用意周到で困ったときにはかなり頼りになる。
「それより全員2000円持ってきたんだろうな?」
小林秀太郎。高飛車なところがあるが判断力があり7人の中で最も賢い。大会社の社長の孫でありこのBWに誘ったのも彼である。
「持って来たに決まってんだろ。」
白橋篤。傲慢でドSだが意外と仲間思いでもあったりする。
「それより早くやろーぜ。全員揃ったんだしよ。」
土屋智也。面倒くさがりだが興味を持ったものに対しては異常なほどの執着心を持つ。ただ飽きるのも早い。
「そうっスね。」
郷田翔太。ガタイはいいが7人の中では最弱。よくパシリにされる。
そして今紹介した6人全員に可愛い彼女がいた。
「お。出てきた。」
前の客が満足して出てきたのを見て輝樹が言った。
「じゃあ俺らも行くか。」
そう言って真也と真琴を含む14人はBWのフロアへと進んだ。
BWのフロアでは5人いる店員が機械を操作していた。その他にはいくつか別室へ続く入り口があった。
「いらっしゃいませ!」
よほど大人気なのだろう。店員の内の一人が満面の笑みで出迎えた。
「ご希望は何になさいますか?」
無論Pコース。それをやるためだけにここに来たのだから。
「新しくPコースと言うのが出たと聞いたのでそれをプレイしに来ました。」
「ではPコースについて説明いたしましょうか?」
「お願いします。」
今の受け答え全てを秀太郎が担当した。流石はボンボン。受け答えには慣れている。
「かしこまりました。それでは今からPコースについてのご案内をいたします。まずお客様にはあちらの部屋にあるペア用椅子に座ってもらい、ピクミンのオリジナルステージに向かってもらいます。そこで30日以内に26種類の宝石全てを回収してください。時間切れになったり敵に致命傷を受けますとその場でゲームオーバーになりますのでご注意してください。尚リタイアすることも出来ますのでそこはご自由にどうぞ。あと・・・」
「なに?まだあるの?」
智也が聞いた。早くゲームをやりたいのだ。
「難易度を選択してもらいます。イージーは宝石がそのまま放置してあります。ノーマルは弱い敵が宝石を飲み込んでいたり宝石の前に立ちはだかっています。ハードでは強い敵が宝石を管理しています。どういたしますか?」
「ハードで」
智也が即答した。異論はなかった。
「かしこまりました。ハードに設定しておきます。あちらの部屋の好きな色の椅子にペアでお座りください。」
そう言われたので早い者勝ちで真也と真琴は赤、秀太郎ペアは黄、輝樹ペアは青、重希ペアは黒、篤ペアは白、智也ペアは橙、翔太ペアは緑の椅子に座った。
そしてヘルメットをかぶって準備は完了した。
「時間に関しては向こうの一日はこっちの一分にも満たないので最長でも戻ってくるころには30分しか経過しておりません。それでは、行ってらっしゃいませ。」
そう言うと他の店員がレバーを下ろし、真也達の意識は一気に飛んだ。